コンパスナビゲーションの方法と実践でのコツ

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「ナビゲーション=コンパス」というわけでは無いのですが、それでもナビゲーションと聞いてコンパスを思い浮かべる人は多いと思います。ダイビング初心者にとっては、それだけ難解で印象に残るものなんでしょうね。

ただ、コンパスを使うにあたって、何が本当に押さえるべきポイントなのかが分かれば、そこまで難しく考える必要はありません。

ここではナビゲーションをする時のコンパスの使い方や注意点、そして基本を押さえた上での実践的なコンパスワークについて解説します。

コンパス(間接表示方式)

コンパス(間接表示方式)

(※上の写真では間接表示方式のコンパスをあえて紹介しています。以下では、より直観的に理解が出来る直接表示方式のコンパスを使って解説を進めますが、基本が身に付いていればどちらのコンパスでも問題なく使うことが出来ます。)

コンパスの各部名称

コンパス各部名称

コンパス各部名称

まずはコンパスの大原則から。コンパスは方位磁石なので、矢印の先は北になります。また、方角は0~360°の数字で言い表します。北が0°、東は90°、南は180°、西は270°となり、北から時計回りに数字が増えていき、360°で一周になります。直角に曲がれば90°回転、真逆を向けば180°回転となります。これは、算数で勉強して日常でも使う角度の表し方と同じですね。

次に、コンパス各部の名称です。上の写真を使って説明します。

①の赤いラインがラバーライン。コンパスの中心や向きを分かりやすくし、自分の進行方向がずれないようにする役割があります。

②の矢印は磁針。矢印の先が北を示しています。

③の黒字に白で数字と目盛が書かれた円周部分が回転ベゼル。進む方向を固定する際に使います。

④の凹型部分がインデックスマーク(インデックスマーカー)。回転ベゼルと一緒に回り、進行方向を一定に保つために使います。

⑤の凸型部分は、特に名前で呼ばれることは無く、通常インデックスマークの逆とか、反対側の印と言われます。往復ナビゲーションをする時に使用します。

⑥は、コンパスの側面になるのですが、小さな小窓があり、サイドリーディングと呼んでいます。自分の向いている方角を知ることが出来ます。

コンパスの持ち方

コンパスは体の正面胸元辺りで持ち、ラバーラインが体の中心の軸(鼻とおへそを結んだライン)に重なるように します。

コンパスが傾くと中の円盤が回転せず正しい方向を示さないので、どんな時でも必ず水平に保つようにします。コンパスを見る時には姿勢を安定させることが重要だという事ですね。ダイビング自体に慣れていないうちは、着底してコンパスを持つことをおすすめします。

また向きを変える時は、コンパスだけでなく体を一緒に回転します。ラバーラインがいつでも体の中心にあるようにしましょう

水中往復ナビでのコンパスの使い方

水中で一定の方向に進んで、帰りは同じルートを通って元来た所へ戻るのが水中往復ナビです。Cカード講習で習得するコンパスナビゲーションの基本ですね。

例としては、ビーチから出発し、真っ直ぐ進んで、魚がいっぱいの根で遊び、また元来た方向に無事帰るという、目的地が一箇所に決まっている時に使うことが出来る方法です。

一番欲しいのは真っ直ぐ進めるスキル

「往復」の部分が意識されがちですが、この往復ナビの一番のポイントは真っ直ぐ進むという事。「は?それくらい言われなくても出来るよ」と思われるでしょうが、水中で真っ直ぐ進むことの難しさを知らない人が意外に多いのです。

水中で真っ直ぐ進むように指示をされると、ナビゲーションスキルが身に付いていない人は、大きな円を描くように同じエリアをグルグル回ってしまいます。これは砂漠で迷っている人と同じ行動です。海の中は目標となる物が少なかったり、目標物があっても同じような景色が延々続くという場合もあり、頼りになるものが少ないのです。

しかし、そこにコンパスと言う視標があるだけで、多くのダイバーが真っ直ぐ進めるようになります。これは、基準ラインが出来上がることで方向感覚が復活し、岸と沖の位置関係や自分の進行方向が分かるようになるためです。

ポイントをある程度把握するまでは、コンパスが助けになります。たかが「真っ直ぐ進むだけのこと」と思われがちですが、それがいかに重要な事かお分かりいただけたでしょうか。

以上の事を踏まえた上で、実際のコンパスの使い方の説明に入ります。

水中往復ナビでのコンパスの使い方

  1. 進みたい方向の情報(何度の方向へどれくらい進むか)を得る。ここでは240°とする。
  2. 回転ベゼルを回して、進む角度の数字(240°)をラバーラインの向こう側へ合わせる。
  3. その場で体ごとゆっくり回転し、磁針の北の矢印をインデックスマークの中に入れる。これで240°の方向を向けたことになる。
  4. コンパス越しに前を見て、真っ直ぐ進むための目標物を設定する。
  5. 目標物に向けて移動開始。コンパスは体の前で構えておくが、視線は目標物に。
  6. 目標物の手前に来たら、再度コンパスを見て磁針の北の矢印がインデックスマークから外れていないか確認をし、目標物の延長線上に新しい目標物を設定する。
  7. 5.と6.を繰り返しながら目的地を目指す。磁針の先がインデックスマークからずれた場合には、目標物上に止まって、軌道修正のため3.からやり直して進む。
  8. 目的地について遊んだら折り返し。その場で回転し、磁針の先をインデックスマークの逆の凸印に合わせる。これでスタート地点の方向(240°の反対で60°)を向けたことになる。
  9. あとは4.~7.と同じプロセスでスタート地点を目指す。コンパスがずれたら、目標物上で8.と同じ動きをして60°方向に軌道修正。

2.と3.は下の写真の状況です。ラバーラインの先に240の数字があり、インデックスマークの中に北の矢印が入っていますね。

インデックスマークに磁針を入れる

インデックスマークに磁針を入れる

側面の小窓・サイドリーディングを確認しても240°を向いていることが分かります。(下の写真)

サイドリーディング

サイドリーディング

次に目標物を定める4.の段階ですが、写真を見るとちょうど前方に青いボールがあり目標物として使えそうです。実際の水中シーンでは、自然物でも人工物でもいいので簡単には動かないものを目標としましょう。

目標物をどんどん更新しながら進んでいくのが、5.6.の移動段階ですが、ポイントを挙げるなら、目標物に到達する少し手前で新しい目標物を作るということ。そうすれば、新旧2つの目標物を参考に出来るので、より誤差の少ない針路を取れることになります。

さて、今度は帰路についてです。

8.の段階を表すのが下の写真です。磁針の北の矢印が凸印を指していますね。さらに、回転ベゼル自体はスタート時から動いていないことに注目。元来た方向がいつでも確認できるよう、スタート以降はベゼルを回しません

帰りは凸の印に磁針の先を合わせる

帰りは凸印に磁針の先を合わせる

サイドリーディングを見ると、240°の真逆、60°の方向を向けていることが分かりますね。(下の写真)

サイドリーディングでも針路確認

サイドリーディングでも針路確認

行きと同じ要領で、コンパスを使って目標物を作り、その目標物を頼りにスタート地点へ戻りましょう。前方に黄色い小さなボールがあるのが見えますので、目標物に出来そうです。

(なお、ここでは分かりやすくするため、スタート地点の足元に黄色いテニスボール、前方に青いボールを置き、正しくコンパスが使えれば2つのボールを結んだライン上を進むことになるよう設定しました。)

コンパスを使った往復ナビで、一連の流れを通して言えるのは、あくまで目標物を優先的に見ながら移動するということ。海には潮流で少しずつ流されることもありますよね。コンパスは進行方向に対して横へのスライドには反応が出来ません。目標物ではなくコンパスをじーっと見ながら移動していると、そのズレに対応するのが遅れてしまうのです。移動は目標物を頼りに行い、コンパスは目標物を作るために使います。

水面浮上ナビでのコンパスの使い方

コンパスは水面で使うこともあります。例えば、ダイビング中にエキジット地点やボートの方向が分からなくなってしまった時(もしくははぐれてしまった時)です。一度水面へ浮上し、コンパスでエキジット地点の方向を確かめる必要が出てきますね。そのまま水面をエキジット地点まで泳ぐことも考えられますが、かなり穏やかなコンディションでなければ、水中移動の方が楽なことが多いです。

水面浮上ナビの方法は簡単です。

水面浮上ナビでのコンパスの使い方

  1. 水面でコンパスを正しく持ち、エキジット地点の方を向く。
  2. その状態で回転ベゼルを回し、磁針の北の矢印にインデックスマークを合わせる。これでコンパスがエキジット地点の方角を記憶したことになる。
  3. 水面下や水底近くで、体を回転させインデックスマークに北の矢印が入るようにする。
  4. コンパス越しに前方の目標物を定める。
  5. 目標物に向けて移動開始。コンパスは体の前で構えておくが、視線は目標物に。
  6. 目標物の手前に来たら、再度コンパスを見て磁針の北の矢印がインデックスマークから外れていないか確認をし、目標物の延長線上に新しい目標物を設定する。
  7. 5.と6.を繰り返しながら目的地を目指す。磁針の先がインデックスマークからずれた場合には、目標物上に止まって、軌道修正のため3.からやり直して進む。

基本的には水中往復ナビと同じように、目標物を使って「真っ直ぐ進む」ことが出来ていれば問題ありません。ここでも、2.以降はエキジットまでベゼルは動かしません。水中で進んでいる方向が少しズレでも、体を回転させ北の矢印がインデックスマークに入るようにすれば、すぐに正しい方向に修正が出来ます。

三角パターンと四角パターンでのコンパスの使い方

アドバンス以降のナビゲーション関連の講習で行う事が多いのが、水中で大きな三角形や四角形を描いて元の場所に戻るというスキル。これをとても難しいように言う人もいますが、コンパスの基本が理解できていれば、そんなことはありません。

始めに進む方向を定める時は、往復ナビと同じように回転ベゼルを回して方角を合わせます。方向転換をする時には、ベゼルは一切動かさず、サイドリーディングを覗きます。ここで、数字を足すだの引くだのと、混乱するケースが見受けられますが、とりあえずはゆっくり体を回転させてみましょう。サイドリーディングを見ていれば数字が少しずつ動いていくはずですので、元の角度と比べて90°(もしくは120°)、角度がずれたところまで回転し続ければいいわけです。

ベゼルをスタート以降動かさないのは、最悪迷ってしまった場合に備え、始めに進んだ方向、戻るべき方向をコンパスに記憶させておくためです。これは実践でも同じです。

大事なのは図形を描くことではない

図形パターンのナビゲーションは少々複雑なスキルですが、ここでは説明はあえて簡潔にとどめたいと思います。なぜなら、講習でこの三角&四角パターンに頭を悩ますダイバーが多いばかりに、これをマスターする事がナビゲーションの目的だと皆が考えてしまいがちだからです。

本当に大事なのは水底に図形を描くことでは無く、三角&四角パターンを通じてコンパスの使い方に習熟するという事。色んな局面で、ニーズに応じてアレンジしてコンパスを使えるようになることなのです。実際のダイビングでは、三角四角はもちろんのこと、視界が悪い時を除いて、コンパスが活躍する場面自体が多くありません。

しかし、本当にコンパスが使われるとしたら、それは方向転換などナビゲーションの節目節目や、コンパス以外に頼るものが無い時になります。それは言うまでもなく重要な局面と言うわけで、そこでコンパスが自在に使えなければ、迷うことになってしまうでしょう。

また、ガイドのメインのナビスキルであるナチュラルナビゲーションが完成に至るまでの道具として、下支えになるのもコンパスです。

実践の場でガンガン使うことはありませんが、ピンポイントでダイバーを助けてくれるのが、コンパスナビゲーションなのです。

コンパスの実践的な使い方

コンパスがナビゲーションに役立つと言っても、常にコンパスとにらめっこしながらダイビングをしているようなダイバーはいないわけで、ちゃんと使いどころをわきまえた実践的な使い方というものがあるのです。

上でも紹介したナビゲーション方法から、さらに実践的な部分をニーズに合わせてピックアップしていくのがポイントです。なお、きちんとしたコンパスワークは、ガイドと一緒に潜る時にも活きてきます

基本ラインを作ってダイビングの視標に

ダイビングにはほとんどの場合、ナビゲーションの基本となるラインが存在します。それはビーチダイビングならば岸と沖を結ぶライン、ボートダイビングならばボートとメインの目的地を結ぶラインです。

エントリー前にコンパスを持った状態で、これから進む方向(真沖やメインの根など)に体を向けて、北の矢印とインデックスマークが重なるように回転ベゼルを回しておきましょう。インデックスマークに北の矢印が入っていれば沖(もしくはメインの根)に向いているわけで、逆に凸の印に矢印があっていれば、岸(ボート)の方を向いているという事です。

事前にこれをしておくだけで、ダイビング中に自分たちが進んでいる方向や大まかな岸の方向や船の位置を把握できます

真っ直ぐ泳ぐための道具に

水中を真っ直ぐ泳ぐのが難しい事は既に述べましたが、「真っ白な砂地をひたすら真っ直ぐ進むと、魚でいっぱいの根がある」というようなポイントでは、コンパスが活用できます。

目標物は小さな石でも何でも構いません。目的地への進行方向を向いた時に、インデックスマーカーと磁針の北の矢印が合うように設定し、あとはそれがズレないようにひたすら真っ直ぐ進みましょう。

重要なのは、基本的には目標物を見て、コンパスは目標物を作る時だけ確認をするという事。そして目標物に到達する前に、次の目標物を決めて、進行方向の精度を高めるという事です。

ナチュラルナビゲーションの下地に

実践で使われるナビゲーションのほとんどはナチュラルナビゲーションです。しかし、そのダイビングポイントでのナチュラルナビが完成するのを助けるのがコンパスです。

慣れないポイントでは景色がどこも同じに見えてしまい、なかなか目印や地形の特徴をつかめません。そこで、とりあえずの基本ラインを設定したり、自分の大体の居場所を把握するのにコンパスが役立ちます。コンパスのお世話になりつつ、何度か潜っているうちにポイントの全体像やキモになる地形や目印を発見し、ナチュラルナビゲーションが完成していきます。

またナチュラルナビゲーションが完成してからも、透明度が良くない時や、エリアを拡大したい時などにコンパスは補助的に使うことが出来ます。

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