万が一深場でエア切れを起こしてしまった時の対応

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浅場でもエア切れはあってはならないトラブルですが、それが深場で起こると状況はかなり深刻です。

対処法は難易度が非常に高く、リスクもあるのですが、それでも諦めず水面まで戻ってくることを優先すべきです。

ここでは、緊急スイミングアセントを中心に、究極とも言えるトラブルの対処法を取り上げます。

マンタ

いつかのマンタ

深場での残圧管理

基本的にディープダイビングでは普段以上に残圧をこまめにチェックしなければいけません。

それは、水深が深い場所では空気の密度が大きくなり、1回の呼吸で消費する空気の量が多くなるからです。

単純に計算をすると、水深30mでは水深10mの場合の2倍のスピードで残圧が少なくなっていきます。

オクトパスブリージング

やはり第一の選択肢はオクトパスブリージングになります。

手順等は通常のやり方と変わりませんが、ディープエリアで二人で一本のタンクから呼吸をすれば、残圧は急速に減っていくことに注意しなくてはいけません。

つまり、深場でオクトパスを受け取った場合、もたもたしている時間は無いということです。水面まで出来る限りの最短距離を取り、すぐに浮上を開始することになります。

オクトパスの渡し手側も、深場で空気を消費している可能性があるので、残圧の状況次第では二人が最後まで一緒に浮上をすることが出来ないかもしれません。その場合は、途中から緊急スイミングアセントに切り替えて浮上をすることになるでしょう。

緊迫した状況で臨機応変さが求められますが、トラブルの中でも冷静さを失わない事が、助かる可能性を高めます。

緊急スイミングアセント

深場でエア切れになり、近くに誰もいない状況というのは、まさに極限のトラブルと言えます。

実際に完全なエア切れになってからオクトパスをもらうには、パニックに近い状態になっていることも考慮すれば、ガイドやバディが遠くても3m以内にいなければ厳しくなります。つまり、オクトパスブリージングが不可能な事態と言うのも珍しくは無いのです。

非常に難易度が高くなりますが、この場合は水深30m付近から緊急スイミングアセントで水面まで浮上することになります。

その詳しい方法を以下で解説していきます。

助かるために覚えておくべき注意事項は次の四点。

  1. 呼吸が出来なくてもレギュレーターを口から外さない。
  2. 吐く息は止めない。
  3. 水深20mくらいまでは少し速めに浮上し、それ以降はスピードをコントロール。
  4. 息はゆっくり吐き続け、長持ちさせる。

では、以下で細かく手順を解説していきます。

呼吸が出来なくてもレギュレーターを口から外さない

深場で使い切ったと思った空気は、浮上に伴い周囲の圧力が小さくなることで、再度呼吸が可能になるのです。そのため、レギュレーターは絶対に外さず浮上を続けましょう。

なぜ、そんな奇跡のような事が起こるのかと言うと、これにはレギュレーターの仕組みが関係しています。

レギュレーターはタンク内の高圧空気を、周囲の圧力と同じにして私たちの口まで運びます。そして、残圧が周囲圧と同じになったら、それ以上はタンクから空気を引っ張ってくることが出来ないのです。

水深30mでは周囲圧が4気圧(大気圧1+水圧3)のため、残圧が4まで減ったらエア切れ状態です。しかし、水深20mまで浮上すると周囲圧は3気圧(大気圧1+水圧2)になるため、残圧で言うと1気圧分の空気が新たに吸えるようになるのです。

残圧1と言うと、水深20mでは大きく1回呼吸が出来るくらいの空気量になり、エア切れ状態では非常にありがたい空気なのです。さらに水深10mまで浮上すれば、もう少し呼吸が出来るようになります。

このように、深場からの緊急スイミングアセントは、少しずつ呼吸をつなぎながら浮上をしていくイメージです。そのため、レギュレーターは絶対に外さないという事を覚えておいてください。

吐く息は止めない

ダイビングの大原則である「浮上中に息を止めない」ということ。これはエア切れの時であろうと一緒です。

緊急スイミングアセントでは、空気をつい大事に思うあまり、息を止めてしまう場合があるかもしれません。しかし、これはエアエンボリズム(肺の過膨張障害)の原因になります。

「あーーー」とか「うーーー」と、うめき声をあげる感じで浮上をすると、吐く量が丁度よくなり、息を持続させながらエアエンボリズムを防ぐことが出来ます。

水深20mまでは少し速めに浮上し、それ以降はゆっくり

エアエンボリズムや減圧症のリスクを減らすためには、浮上スピードをゆっくりにすることが大切です。しかしその一方で、緊急スイミングアセントはあくまで「緊急」なので、一刻も早く水面にたどり着きたいというジレンマが発生します。

その妥協案として考えられるのが、まず水深20m位までを速めに浮上し、それ以降をBCDの排気とキックスピードをコントロールしながらゆっくりめに浮上していく、というもの。

これは水深と圧力変化の関係を利用する作戦です。

水深30mから20mへの浮上では周囲圧が4気圧から3気圧へ変化します。圧力は25%減になるわけですね。一方、水深10mから水面への浮上を考えると、周囲圧は2気圧から1気圧に変化します。圧力変化は50%減です。

同じ10mの浮上でも、浅場の方が圧力変化が大きくなるため、深場では少し速めに浮上しても、減圧症等のリスクは抑えられます。

比較的リスクの小さい水深(30~20m)を速く浮上し、リスクが大きな水深(20m以浅)ではゆっくりめに浮上を行うことで、少しでも安全に水面を目指す方法なのです。

しかし、これはあくまで緊急時の方法で、本来は海底から水面までゆっくり浮上し、浅場で安全停止もしっかり行うのが、安全な浮上スタイルです。

息はゆっくり吐き続け、長持ちさせる

深場でエア切れ状態でも、浮上するにつれて再度呼吸が可能になるという事は上で説明しました。

浅場で呼吸が1,2回復活することが分かっていても、出来る限り息を長持ちさせた方が良いというのは当然のことです。

エアエンボリズムを気遣いながらも、なるべくゆっくり息を吐き続けましょう。

まとめ

以上の条件をすべて満たして浮上を行えば、緊急スイミングアセントでもディープエリアからの生還が可能かもしれません。

極限状態で状況判断を的確に行うには、安全の基礎になる知識」が、頭と体にしっかり浸透している必要があります。水深と圧力変化、空気の密度の関係などがそうですね。

ただ、仮に水面に到達出来たとしても、減圧症は覚悟しなくてはならないでしょう。

緊急スイミングアセントよりはオクトパスブリージング、オクトパスブリージングよりは通常の浮上が望ましいのは言うまでもありません。

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